はじめに

「自閉症」シリーズ3回目です。

自閉症は、支援するうえで知っておかなければ、互いが傷つけあう関係となってしまいます。

私たちと同じ、認知機能が備わっていない自閉症の方たちとのコミュニケーションは
それぞれが独創的であり、専門性を持って取り組まなければ相手には伝わりません。

まずは、特性を正しく理解し、あの手この手で伝える方法を考え、しっかりと観察(記録)をして、自閉症の方への伝わるコミュニケーション方法を考えましょう。

1.古典的自閉症への支援のために

社会生活をおくる上で、もっとも大切な事は、コミュニケーションするという事です。ここでいうコミュニケーションとは「意思を伝えあうこと」で「言葉を話すとか話さない」ということではありません。

言葉が使える事と、その言葉を「コミュニケーションの道具として使う」という事は
自閉症の人たちにとって、私たちと同じではありません。

よって、「人とコミュニケーションする」ということ、やり取りである行為
そのものに困難さがあるのが自閉症の特徴です。

※話せない・言葉の障がいという点で同じように見える「障がい」でも、聾唖者の言語障がいや聴覚障がいと全く違うのは、人とコミュニケーションする意味が分かっているかどうかです。

自閉症の人たちと言葉や言葉以外でのやり取り(意志確認や意志の伝達)を行うためにはコミュニケーションマインド(意志を伝えようという気持ち)を育てなければなりません。

2.コミュニケーションとストレス、パニック等の行動問題との関係について

ストレス、パニック等、問題行動の原因にコミュニケーションが関係している事については慎重に考える必要がありますが、私たちも疑似体験や想像することが出来ると思います。

私たちが言葉の通じない外国に行ったとします、そこの生活習慣が日本とはまるっきり違い何もかもが初めて見る経験としたときに、感じる不安やストレスはいかほどなのでしょう。

コミュニケーション能力や認知能力に問題がなくとも、文化・風習・習慣の違いをすぐに受け止め理解する事は、困難な事だと想像できるのでは・・・

自閉症の方は、物事の意味や理由を認知する事が難しい事から、毎日が言葉の通じない複数の外国に行っているようなものです、活動場面や人が変わるたびに、また違う外国に行ってしまったような感じかもしれません。

自閉症の人たちが感じる、ストレスは私たちの想像をはるかに超えた状況でありパニックに陥入り、行動問題となってしまうとも考えられます。

3.障がい特性に沿った指導のために

(1)言葉でコミュニケーションする事が苦手な自閉症

言葉には、物の名前のように「具体的な言葉」と頭で考えないと分からない「抽象的な言葉」があります。

「具体的な言葉」のように、物の名前などは理解する事は出来ますが言葉の多くは抽象的なため、理解する事が難しくなります。

まず、このことに気付かなければなりません。

(2)聴覚優位と視覚優位について

自閉症の人は、聴覚(耳)から入って来る言葉を理解する事は苦手です。

一般的に視覚(目)から入って来る情報(具体物・絵・ジェスチャー等)で判断する事が
得意だと言えます。

見て真似をする(モデリング)でスキルを身に付けていくほうが得意だという事です。

(3)自閉症の方の文献より

※ドナ・ウイリアムズ著『自閉症だった私へ』

「言葉は分からなかったが、具体物があると安心した」
「真似をすることがコミュニケーションだと思っていた」